検査の種類と特徴

雨漏りの調査方法と建物別適用区分

一概に「雨漏り検査」といっても、ハウスドクター東北テクニカルセンターで行っております。紫外線投射法の他に数種類の検査方法が存在します。簡単にそれぞれの検査方法の違いと、それらの建物別適用区分をまとめました。

種別 建物種類 評価
木造 鉄骨造 RC造
1)シート養生  〇 × 手法としては原始的な方法であるが、適用できる機会はかなりあり、従来からの方法である。一定期間をかけて経過を観察するが、条件的に不備があると硬貨は半減する。
2)散水・注水 ×
3)局部破壊・点検口
4)赤外線法 × × 具体的資料が得られ、眼で観察できる。
5)ガス圧入法 × × RC造の適用範囲が広いのが特徴だが木造・鉄骨造には不向。
6)紫外線投射法 事前調査と経験・知識を要する。

◎:最適  〇:適する  △:ごく一部に適する  ×:適さない

これら調査方法の特徴

これらの調査方法は調書と短所があり、どの検査方法が最も良いのかは依頼主様の判断となります。

ここに調査方法の特徴を記載しますのでぜひご参考になさってください。

1シート養生による方法

屋根やバルコニー部のパラペット部と床防水層など疑わしい部分をシートで覆い、雨水の浸入の有無によって部位の判別を行う方法です。
小規模で特殊な部分に適しますが、単に立上り部か平面の部位の判別となる ため、調査には長期間の観察が必要となります。

2散水・注水による方法

疑わしい部分に散水し、漏水の有無によって判定する方法です。屋根や外壁面等の防水納まりに比較的適しています。
また、目視観察の補充手段として簡易に採用できますが、調査には高度な技術判断を要し、適用場所が限定されます。

3防水層・屋根裏を直接観察する方法

疑わしい部分の防水保護層を撤去し、直接防水層を観察する方法で、スラブ面のひび割れ状況や、雨水が一旦屋根裏などに滞留して長時間経ってから漏水する場合には試みる価値があります。
直接防水層や屋根裏が観察できることから、 漏水原因の一端は判明しますが、既存の構成材を痛め、小さな損傷が判りにくい面があります。
天井に穴を開けたり内装材をはがしたりするので外観が悪くなりコストがかかります。

4赤外線法

建物部位で漏水があると、一定の物理的法則にしたがって、漏水部と健全部に温度差が生じます。
この表面温度を赤外線装置によって測定し、温度差により内部の浸透水の有無を判定する方法です。
屋上や外壁の壁体内や防水層とスラブ間に滞留している水を探知するのに適しておりますが、雨水の浸入口を特定することは困難な場合が多く、推測の域を脱することは難しいです。
一般には、 露出防水層または外断熱材(露出防水)などの調査に適しております。

5ガス圧入法

漏水している箇所等にガス送入用ヘッドを取り付け、トレーサーガスを雨水浸入経路の逆方向から送り込み、漏洩するガスを探知機で調査することで、雨水侵入部を特定します。
ガスの検出を的確に行うために、 防水保護層や階下天井の撤去が必要となる場合があります。また、雨水侵入箇所からガスは出てくるが、そこが必ずしも雨水侵入部とは限らないことから、 ガス漏洩部のディティールを検討し、雨水侵入口かどうかの判断が必要となります。
木造や鉄骨造などの空間がある建物には不向です。

6紫外線投射法

紫外線に反応して発光する専用の検査液を雨水の侵入しそうな箇所から流し込み、紫外線ライトで照らすと検査液が発光して漏水の侵入口が分かる仕組みです。
水だけを使用した雨漏り検査では、複数箇所に散水を行った場合のタイムラグによる雨水浸入箇所の特定を間違えるケースがよくみられま すが、検査液を使用することで最大限にミスをカバーできます。
外壁面内部のシートや屋根のルーフィングの亀裂等で、侵入口の範囲を絞り込む事ができない場合や、強風下の毛細管現象による漏水の場合は適用できない 場合があります。